訪問介護事業所のスタッフとして、独居高齢者の白田金造(しろたきんぞう)宅を訪問していたたからは、ある日、息子の保育園のお迎えと、白田宅訪問の時間が重なり、子連れで白田宅を訪問。そのことが勤め先にバレ、就業規則違反でクビになってしまう。失業し路頭に迷ったたからは、レスラー兼ヘルパーの早乙女千陽(さおとめちはる)と出会い、弱小プロレス団体が運営する、いわく付きのヘルパー事業所「ピンフォール」で、一般の介護施設では手に負えない高齢者たちを相手に、人生の後悔や汚点、誇りや尊厳に触れながら前に進んでいく。
白田は、重篤な病に侵されながらも、晩年まで残した人生の課題を解決すべく、持ち前の“いたずら好き”な性格で、周囲を驚かせるような行動に出た。白田が経営する建設会社を乗っ取った愛人の松原亀子(まつばらかめこ)は、たからを雇い、最期まで白田の世話をさせることで「ピンフォール」がこれ以上、白田に関与できないように画策。白田は、旧友の県議会議員蓼山三郎(たでやまさぶろう)に、自らが死んだことを伝える死亡広告を新聞に出すよう持ちかけ“生前葬”を企てた。
突然の訃報に驚くたからだったが、葬儀に参列しながらも、白田の性格上なにか裏があると思い、まだ生きているのではと思っていたため、白田が棺桶から復活してみせたことに大喜びする。しかし、参列していた下請けの関係者たちは、白田の茶番に憤慨。白田は現役時代から懇意にしていた下請けが既に皆無になっていることを悟り、自分の時代はとっくに終わっていたことを身をもって痛感。ここが去り時と心得た白田は、“除草剤”をウイスキーの瓶に入れ、それを飲み干そうとした。間一髪気がついたたからは「飲まないで!」と叫び、千陽がその瓶を白田の手からはね除けたが、飛びついたたからが誤って飲み込んでしまい、救急搬送される。身を挺して白田を守ろうとするたからの姿に、さすがの白田も心を動かされていく。
一方、「ピンフォール」の存在を疎ましく思っている亀子は、無人の「ピンフォール」に潜入し、そこで偶然、高齢者に向けた規格外の有料サービスの写真を発見。それをSNSで拡散したことで、世間から非難囂々の大炎上となり、地元民の応援なしには成り立たない弱小プロレス団体「ことぶきプロレス」は、ヘルパー事業からの撤退を余儀なくされてしまう。やられたらやり返す白田は、たからに亀子の知られたくない過去についてSNSで拡散するよう命じる。しかし、たからは亀子への仕返しには大反対。白田は、亀子が醜い女になってしまったのは、日陰の身にさせてしまった負い目から甘やかしてしまったことが原因だと語りだした。それを聞いたたからは、甘やかされたから根性が曲がるのはウソだと言い、自分には甘えられる存在はいないが、亀子には白田がいると、自らの人生と照らし合わせながら亀子を擁護した。
白田は、たからの言葉に心を動かされ、考えを一新。亀子を口説く動画を撮るため、松原邸へ向かった。しかし、白田は、そこで息絶え帰らぬ人に。死を受け入れられないたから。そして、もう一人、「ピンフォール」のヘルパー事業撤退が迫る中、ヘルパーを辞め、プロレスに戻る決心をした千陽も、試合中に先輩レスラーを殺めてしまったことで、死を受け入れられずにいた。
そこへ、新たな訪問者が「ピンフォール」にやってきた。放心状態で認知症の親の乗った車椅子を押す大森美裕(おおもりみひろ)。そして、マスクをはめ拘束具をつけられ車椅子でうなだれる大森采(おおもりさい)。ヘルパー事業撤退直後に現れた、異様な状態の親子に驚くたからと千陽。しかし、二人が気がつくと、車椅子ごと采を放置し、娘の美裕は姿をくらましてしまう。荷物にも身元を示すものがなく、完全に確信犯の“捨て親”に戸惑うが、たからは持ち前のポジティブさで、采とコミュニケーションを取ろうとし、マスクと拘束具を外した。その瞬間、たからの腕に采が噛みついてきた。慌てて再度縛りつけようとする千陽。たからがそれをためらうと、千陽は「おまえにヘルパーは無理だ」と一喝。二人がヒートアップしている中、気がつくと、采はその場から消えていた――。
新生ヘルプマン ケアママ! Vol.3
定価:1760円(本体1600円+税10%)
発売日:2021年10月7日(木曜日)
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