事実に基づくエピソードが大反響。
本作の原作は、㈱トキワ精神保健事務所が1996年より行っている「精神障害者移送サービス」を通じて、病識のない精神疾患患者を医療につなげられない家族の現実、長引く「ひきこもり」問題などに向き合ってきた押川剛さん。押川さん原作だからこそ描ける、事実に基づくエピソードが各巻に盛り込まれ、新巻を出すたびに、大きな話題となりました。このたびの第10巻を刊行で、累計100万部を突破いたします。
■今作には、他の漫画作品と全く異なる点が2点あります
- 全てのエピソードは押川剛が経験してきた「事実」であり、登場する人物は、プライバシーに配慮し固有名詞等は変えているけれど、全てモデルがいる。
- 漫画「原作」というと、文庫や小説などを底本にして、それを単になぞったり、翻案して漫画化されることが多いが、本作は新潮文庫『「子供を殺してください」という親たち』『子供の死を祈る親たち』を底本にしているものの、押川剛が「漫画」用に新たに「プロット」を書き下ろし、文庫でも描ききれなかったエピソードや社会情勢を盛り込んでいる。
この、他の作品では類を見ない製作体制のもと、「マトリズム」や「ケーキの切れない非行少年たち」など、現代社会をこれ以上ないリアリティのある筆致で描く漫画家鈴木マサカズ氏が漫画執筆をすることで、これ以上ない化学反応が生まれ、毎回、家族の問題とそれを内包する現代社会を圧倒的なインパクトで描いてきた、奇跡のような漫画作品であります。
現実には、元農林水産省事務次官が長男を殺害した事件や、精神疾患が疑われる無差別殺傷事件、ストーカー殺人など、漫画に出てくるケースを彷彿とさせる事件も相次いでいます。
■今作の反響
精神疾患を題材としていることから、賛否両論を生む作品であることは事実です。しかしそのゆるぎないリアリティと、社会問題に取り組む真摯な姿勢によって、幅広く読者を獲得しつづけています。一例ですが、作家の林真理子先生は、ひきこもりをテーマにした「小説8050」執筆に当たり、押川さんに取材を行いました。また、漫画好きで有名な女優の広瀬アリスさんや、クリエイターのヒャダインさんも、テレビ・雑誌等で「オススメ漫画」として本作を挙げてくださっています。
■著者コメント
・原作者:押川剛氏
私は、この漫画の原点となる「精神障害者移送サービス」を始めた約30年前から、精神疾患にまつわる「命」ギリギリの現場を見てきました。当時は「家庭」に隠匿されていたそれも、今では「事件」として顕在化しています。コロナ禍もあり、不可解な事件は今後さらに激増すると予測されます。この風変わりな漫画が多くの読者に支持されているのは、ひとえにそういった日本の現状に対する恐れがあり、真実を知りたいと願う人たちが数多くいることの現れだと思います。
・漫画家・鈴木マサカズ氏
この漫画のお話をいただいたのはもう5年前になるでしょうか。直感的に「いま自分が描きたものはこれだ!」と強く感じたことを昨日のことのように思い出します。そしてその思いはいまも変わりません。この漫画に描いてあることは誰にとっても他人ごとではなく紙一重のできごと。彼ら彼女らの目は苦しみや悲しみ、怒りがこもった目です。そのようなことを思いながら今日も粛々と作画をしています。
■著者紹介
原作:押川剛
1968年、福岡県生れ。専修大学中退。1992(平成4)年、トキワ警備(現・㈱トキワ精神保健事務所)を創業。1996年より精神障害者移送サービスに業務を集中。強制拘束を否定し、対話と説得によって患者を医療につなげるスタイルを確立。これまでに移送した患者は1000人を超え、2002年以降は、自立・更生支援にも携わっている。またジャーナリストとしてもTVの報道番組や論壇誌等で活躍中。『「子供を殺してください」という親たち』『子供の死を願う親たち』等著書多数。
漫画:鈴木マサカズ
1973年静岡県生まれ。京都精華大学卒業。『無頼侍』『銀座からまる百貨店 お客様相談室』『マトリズム』など硬軟含めた意欲作を執筆。『ダンダリン一〇一』がTVドラマ化、くらげバンチで『ケーキの切れない非行少年たち』を漫画化するなど各方面で話題沸騰中。
■書籍概要
【タイトル】「子供を殺してください」という親たち 第10巻
【著者名】原作:押川剛 漫画:鈴木マサカズ
【造本】B6判型
【本体価格】638円(税込)
【発売日】2021年11月9日
【ISBN】978-4-10-772444-1
【URL】https://www.comicbunch.com/manga/bunch/kodomowo/
■同時発売!電子版限定ベストセレクション
11月9日、電子版限定配信。『「子供を殺してください」という親たち ベストセレクション――「家族の恐怖」編』。
全ての話に解説として、雑誌連載当時の押川剛による「現場ノート」が収録、特別編の「現場からの声」も。連載当時のカラーページも復活! 「家族の恐怖」編として編纂される内容は… 第1巻収録「精神障害者か犯罪者か」「親と子の殺し合い」/第2巻収録「親を許さない子供たち」/第5、6巻収録「すべて弟にのしかかる」。
■第45話試し読み